
イン/アウトバウンドを問わず、応対品質の平準化を重視しているコールセンターは少なくありません。「コールセンター白書2024」では「コールセンターの品質管理においてもっとも重要な要素は『平準化』」と説明されているほどです。
しかし、経験値が大きな強みとなるオペレータ業において、新人オペレータとベテランオペレータの応対品質を平準化することは容易ではありません。
インバウンド業務より難易度が高いとされるアウトバウンド業務では、平準化はとくに難しいと言えるでしょう。自分たちから架電し、攻めの姿勢でお客さまと対話するオペレータたちには、高いコミュニケーション力や精神力が求められるからです。高いコミュニケーション力は、オペレータとしての経験やそれに基づく勘・スキルがベースとなります。
この記事では、平準化がとくに難しいと思えるアウトバウンド業務において、Bright Patternの新機能「エージェントアシスト」を切り口に、どのように新人とベテランのスキルを平準化していけるのか解説していきます。
【この記事が解決するお悩み】
- 新人オペレータの応対品質が安定しない…
- ベテランと新人のスキル差が大きすぎる…
- SVの負担が増え続けていて、フォローが追いつかない…
- アウトバウンド業務の成功率を上げたいけど、なかなか難しい…
- マニュアル通りじゃ対応しきれない“想定外”が多すぎる…
アウトバウンド業務の平準化に立ちはだかる「スキル差」

最近では、以下のような理由からアウトバウンド業務が再注目されています。
- インバウンドで解決できなかった案件のコールバック
- 既存顧客へのフォローコール(セールス以外)
- 手続き対応における提出物の不備を補完する
- 既存顧客の離反防止
- カスタマーサクセスへの着手
- インサイドセールス
「コールセンター白書2024」によれば、70%のコールセンターがインバウンドとアウトバウンドの両業務に対応しています。
部署による業務分担や、オペレータの経験値による業務の振り分けなどが適正になされているとしても、やはりオペレータに求められる業務内容やスキルは多様化する一方であると言えるでしょう。
最新の「コールセンター白書2024」によると、コールセンターのオペレータ初期研修期間は、「1ヶ月程度」が最も多く39%を占め、次いで「2週間程度」が16%となっています。「1週間未満」の短期研修も18%あり、「初期研修なし」と回答したセンターはゼロでした。
前年(2023年)と比較すると、「3日間〜1週間程度」が10%、「初期研修なし」が2%だったことから、この1年間でコールセンター業界が研修・トレーニングに注力する傾向が強まってきていることがわかります。
ただし、1ヶ月前後の研修期間では、全オペレータが完璧な応対スキルを習得し、ベテランとのスキル差を解消することは困難です。これは「覚えるべきことの多さ」が早期離職の要因となっている現状にも関連しています。
研修内容の良し悪しに関係なく、1ヶ月程度の研修経験しかない新人オペレータと、1年のオペレータ経験があるオペレータでは、対応できる件数やスピード、「ゴール」(商品購入、成約、アポイント獲得など)までのアプローチ力に差が出るのは当然のことです。
アウトバウンドゆえの難しさ
アウトバウンド業務の場合、必ずしもお客さまにとって都合の良いタイミングに、お客さまが求めていた情報を発信できるとは限りません。むしろ、予期していないタイミングで電話を受けている人が多いでしょう。
そのためオペレータは、お客さまへ警戒心や嫌悪感を抱かせないための話し方、言葉遣い、アプローチの流れといった高いスキルが求められるのです。これらのスキルには、アウトバウンド業務における経験やノウハウが必要不可欠です。
そのため、新人オペレータとベテランオペレータのスキル差を埋めて、平準化していくことは大変難しいと言えます。
音声のみでお客さまとコミュニケーションをとるコールセンターでは、電話口のオペレータが新人なのかベテランなのかを可視化することはできません。実店舗に従事するスタッフのように「初心者マーク」をつけられないからです。
しかし、応対品質にバラツキがあったり、架電する側でありながら不自然な応対をしたり、商品・サービスの知識が不足していたりすると、お客さまに不信感や不快感を与えるリスクが高まります。
オペレータのスキル差を最小限にとどめて平準化することは、新規顧客の獲得や売り上げ向上、ロイヤリティの醸成において必須条件と言えるのです。
Bright Patternの「エージェントアシスト」機能で実現する平準化
初期研修やトレーニングの強化は、応対品質の平準化や早期離職の予防といった観点で非常に重要です。同様に、SVによるリアルタイムフォローや定期的なトレーニング、教育カリキュラムの整備の重要性の強調される一方、SVの業務は複雑化と多様化を極めています。平準化を目指すとはいえ、SVによるサポート体制には限界があると感じるでしょう。
SVの負担を軽減しつつ、スキル差を最小限にして平準化するには、さまざまなツールや制度でオペレータを支援していくほかありません。アウトバウンド業務を平準化する方法として提案されることが多いのは、トークスクリプトの作成やオペレータ向けFAQの活用などです。
しかし、トークスクリプトのように事前に会話の内容を想定して応対例を可視化するものは、「想定外の会話に対応できない」というデメリットがあります。
アウトバウンド業務に求められるスキルが多様化している現在、より的確にオペレータを支援するカギとなるのは「リアルタイム性」です。
リアルタイム支援を可能にする「エージェントアシスト」機能
Bright Patternでは、オリジナルのAI機能として「エージェントアシスト」機能が追加されました。まさにAIからのリアルタイムサポートを実現する新機能です。

エージェントアシスト機能とは:お客さまとオペレータの会話をリアルタイムで文字起こしし、会話内容に適した回答やリアクションをAIが瞬時に提案するオプション機能です。
文字起こしに使用できるAIには、標準連携としてIBM Watson、Whisper、Google STTがあります。日本語に強いSTTである「Namitech」との連携も可能です。
SVはAIによる一連のサポート状況をテキストベースでモニタリングできるので、会話の進行が順調でないオペレータを迅速かつ的確にフォローしていけます。

「エージェントアシスト」には、リアルタイムで的確な提案をするだけでなく、重要な点をマーカーや色つきの文字で表示したり、関連するウェブページを自動的に別タブ表示したりする機能も搭載されています。より的確で効果的な情報を、オペレータにとってわかりやすい形で示せるのです。
「エージェントアシスト」では、センター全体のトレンドをAIによって分析することもできます。

以下は分析例です。
- どんなトリガーで、どのサジェスチョンをどのくらい表示したか
- どのサジェスチョンが出ている通話に関して、通話時間が長くなっているか
- どんなキーワード、トリガー発動の時にどんな感情が多くなっているか
これらのトレンドを特定することは、業界改善や応対品質の平準化と向上を目指した戦略を立てる上で役立ちます。また、戦略を立てるための分析業務において、SVの負担を軽減できるのも大きなメリットです。
「エージェントアシスト」はBright Patternの機能です。他のコールセンターシステムで使えるオペレータ応対支援システムをお探しなら「Kotonami」がおすすめです。「Kotonami」の特徴はカスタマイズ性が高いことです。
最後に
オペレータはつねにインプットし続けながら、お客さまに向けてアウトプットしなければいけないポジションです。「覚えるべきことが多い」とされ、経験値がコミュニケーションスキルにつながるオペレータ業において、新人とベテランのスキルを完全に平準化することは非常に難しいと言えます。
しかし、「想定外」に対応できるAIからのリアルタイムサポートを活用するなら、つねに「今」の応対内容や流れにあわせてオペレータをサポートでき、応対品質の平準化を目指すことが可能となります。
Bright Patternの「エージェントアシスト」なら、SVの業務負荷を軽減しつつ、センター全体の生産性向上にも寄与していけます。新機能である「エージェントアシスト」についてお知りになりたい方は、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせください。