コールセンターの採用状況は厳しい状態が続いています。
「コールセンター白書2023」によると、採用状況について「全拠点でかなり厳しい」と回答したのは、全体の33%でした。一年前の34.8%と比較してもほとんど改善していません。
採用難への対策として、各コールセンターは以下の点に取り組んでいます。
- オペレーターのモチベーションアップ
- 生産性向上
- 呼量削減
上記の取り組みに役立つのが、生成AIをはじめとした各種AIツールです。コールセンターシステムとAIツールを連携させていくなら、採用難という問題に対処していけるでしょう。
今回は、コールセンターシステムと連携しやすいAIプラットフォーム「GIDR AI(ガイダーエーアイ)」について紹介します。
GIDR AIとは、現場が望む「対応前・対応中・後処理」を丸ごと効率化できるAIツールです。コールセンターの現場で、GIDR AIがしてくれる3つの仕事について解説していきます。
慎重にしか進まないコールセンターでのAI活用
まず始めに、AI活用が慎重にしか進まない国内のコールセンターの状況について知っておきましょう。
「コールセンター白書2023」によると、「生成AIの活用について」国内のコールセンターに調査した結果、回答企業212社のうち、わずか13%だけが「センター全体で利用している」と答えました。
それ以外は、個人的に使っているか会社から使用を禁じられている、もしくは関心がないし利用予定もないという回答でした。
生成AIに対するきわめて慎重な姿勢が見て取れます。
一方で、生成AIをFAQの自動生成やVOCの要約、そしてチャットボットといった顧客接点で積極的に活用する動きも見られます。
たとえば、2024年2月、小田急電鉄はFAQとチャットボットにAIを導入しました。同2月、日本郵便も集荷電話自動受付でのAI使用を開始しました。
しかし、現在の顧客接点で使われるAIツールは用途が限られています。
チャットボットやボイスボット、そしてVOC要約など、あくまでもポイントポイントでの利用にとどまっているのです。つまり、「対応前・対応中・後処理」でそれぞれ使うAIツールが異なっています。これでは導入の手間も管理の手間もかかってしまいます。
ただでさえ人材不足なのに、これではAIによる業務の効率化は難しいでしょう。AIの導入にも二の足を踏んでしまいます。
では、コールセンターが望むAIツールとはどのようなものでしょうか。
「コールセンター白書2023」には、コールセンターが描くAIツールのロードマップについて次のように述べられていました。
「(AI処理の)あらゆる用途でポイントソリューション的な活用が続いた後、将来的には「全体の統合処理」にまで至るロードマップが描かれている」
「コールセンター白書2023」8ページ
つまり、「対応前・対応中・後処理」までのすべての業務全体を統合して、丸ごと処理してくれるAIツールが望まれているのです。
GIDR AIとは
GIDR AIは「全体の統合処理」ができるAIプラットフォームです。つまり、「対応前・対応中・後処理」までのすべての業務を統合して丸ごと実行できるAIプラットフォームなのです。
GIDR AIの特徴について解説します。
対応前から後処理まで丸ごと対応可能
コールセンターで生成AIが活用されているのは主に以下の用途です。
- FAQの自動生成
- VOC(オペレーターと顧客の会話を要約)
- チャットボット
多くの場合、用途ごとに異なったAIツールを導入しなければなりません。しかしGIDR AIであれば、一つのシステムだけですべてを網羅できます。
「弊社エンジニアからのひとこと」:
GIDR AIは柔軟なプラットフォームです。プロンプトを工夫すると様々な用途で働いてくれますね。またプラットフォームに追加できる機能も日々増えているところです。
いろいろなコンテンツの構造化をしてくれる
コールセンターで生成AIを活用するには、コンテンツの下準備が必要になります。
FAQやチャットボットに反映させたい各種のコンテンツをAIに学習させなければなりません。コンテンツの構造化と呼ばれる作業です。構造化の作業は複雑で手間がかかります。PDF、画像、動画、音声などの情報を構造化する作業には膨大な時間と労力がかかるのです。
GIDR AIは、PDF、HTML、動画(MP4)といったいろいろなフォーマットのコンテンツを丸投げするだけで構造化してくれます。
「弊社エンジニアからのひとこと」:
GIDR AI単体でも複数の形式を扱うことができます。また(書籍や倉庫の書類などの)紙データが大量にあってそれをデジタル化したいという現場もあるかもしれません。
もともと、GIDR AIの開発元には、その業務を長年行ってきた実績があります。「国連」や「Pearson社」にある大量の紙データをデジタル化してきました。
もし出版社・教育機関・エンタープライズ企業など「大量の書籍、雑誌、説明書、社内資料、パンフレットといった紙データをデジタル化したい」というご要望がありましたらお気軽にお問い合わせください。
拡張性が高い
GIDR AIは、APIでいろいろなLLM・CRM・チャットボットと連携が可能です。用途に合わせて組み合わせるLLMを自在に変えられます。
たとえば、Azure Open AI、GCP Vertex AI、AWS Bedrockなど、それぞれの得意分野を持ったLLMを柔軟に選んで運用していけます。
さらに、アバターオペレーターとも連携可能です。
GIDR AIとアバターオペレーターを連携すると何ができるでしょうか。
まずGIDR AIが、顧客の質問を音声認識で読み取ります。それからアバターオペレーターを通して、GIDR AIが音声合成で答えていきます。
「弊社エンジニアからのひとこと」:本当はまるで人間と話しているかのように実装してみたいのですが、まだその領域には達していません。人間と話しているのかAIと話しているのか分からないほど自然な会話でお客様サポートができるようになったらいいですね!
セキュリティ重視
「AIツールはセキュリティが心配」「いつの間にか情報漏洩が起きていたら困る」と感じるかもしれません。
GIDR AIはセキュリティ重視のAIプラットフォームです。使う大規模言語モデル(LLM)のドメインを制御することができるため、情報漏洩が起きにくい仕組みになっています。
「弊社エンジニアからのひとこと」:GIDR AIは企業内でどうやったら安全に使えるか、ということを念頭に日々開発が続けられています。様々なソリューションを駆使した効果的な個人情報を除去する仕組みをご提案しています。
GIDR AIがコールセンターでしてくれる3つの仕事
これから具体的にGIDR AIがコールセンターで何をしてくれるか見ていきましょう。GIDR AIがコールセンターでしてくれる3つの仕事を紹介します。
【対応前】AIでFAQ作成
GIDR AIは、顧客がオペレーターへ問い合わせる前に活用できるFAQを生成してくれます。PDFマニュアルなどのコンテンツを元に、自動でFAQを生成していけます。
AIは読み込んだ情報だけに基づいて回答するので、見当違いの回答をすることがありません。生成AI特有の「知ったかぶり(ハルシネーション)」をすることがないので安心です。
GIDR AIを使ってみよう
GIDR AIを使ってどのようにPDFからFAQを生成するのかご覧ください。
1. 活用したいPDFを表示させ、FAQとして使いたいページを選択。
2. ページの中の使用したい文章を選択し、「生成」ボタンをクリック。
3. FAQが作成されました。
4. 答えをクリックすると、要約された答えと参照情報が表示されます。
GIDR AIの一押しポイント:
PDFに含まれる表や画像も読み取り、FAQ生成してくれます。Geminiと紐付けることで、PDF内の画像も解析可能になります。
GIDR AIの一押しポイント:
GIDR AIは多言語対応が得意です。たとえば、中国語のPDFをAIに読み込ませて、日本語で回答を生成させることができます。さまざまな言語を組み合わせられます。
GIDR AIが解決してくれる現場の悩み
- FAQを充実させたいが手が回らない
- FAQの情報を最新にする人員が足りない
- 質の高いFAQで顧客の自己解決率を向上させたい
- FAQの答えに関連する最新資料をきちんと提示したい
「弊社エンジニアからのひとこと」:この機能にはQ&Aクリエーターという訳を当てました。FAQの素材となる質問と回答を作成できます。
また別の機能になりますが、お客様対応に出てきた質問について、オペレーターがGIDR AIに質問を続けていると、自然に「繰り返し出てくる質問」が上の目立つところに表れてくるようになります!
【対応中】AIが顧客対応をお手伝い
GIDR AIは、オペレーターが顧客対応中に手伝ってくれます。お客さまがしてくる難しい質問に正確に答えられるようにサポートしてくれるのです。
関連するQ&Aや、参考にできる資料をオペレーターに教えてくれます。
GIDR AIを使ってみよう
1. オペレーターが質問を入力します。
2. 質問に端的に答えてくれます。同時に、関連するQ&Aと、参考資料のPDFを提示してくれます。
3. PDFをクリックすると、中身を確認できます。質問の根拠をきちんと提示してくれるので安心です。
4. 関連情報として、動画も提示してくれます。
5. 動画をクリックすると、該当する箇所(時間)から再生してくれます。下部には動画の字幕も表示されます。
GIDR AIが解決してくれる現場の悩み
- オペレーターの案内ミスが多い
- ナレッジコンテンツが膨大でオペレーターが検索に手間取っている
- ナレッジコンテンツが多言語なので、日本語への翻訳に時間がかかる
- 即時に最新資料を使ってオペレーターに案内させたい
「弊社エンジニアからのひとこと」:このソリューションをぜひ使いたい、と言われるコールセンターの中には、オペレータが一人前になるまでに大量のPDFを読み込んで、製品に熟知しないといけないという拠点などがあります。
AIがPDFを読んで先に勉強しておいてくれるなんて夢のようですね。そして、それが単なる夢で終わってしまわないよう、エンジニアたちが良い回答率でGIDR AIが働くよう強力バックアップする体制を整えております!
【後処理】AIが後処理を分析
コールセンターで加速度的に進んでいる生成AIの活用分野は「VOC要約」です。「VOC要約」を生成AIにさせると、後処理を意味するACW(アフター・コール・ワーク)を大きく削減できます。
たとえば、ACWに必要な時間の平均は6.3分です。ときには、10分以上かかることがあります。しかし、生成AIで自動化されればACWを限りなくゼロにできます。
オペレーター一人当たりの応対件数は飛躍的に上がるでしょう。人材不足に悩むコールセンターにとっては魅力的な生成AIの活用分野です。
また後処理をAIに分析させることで、人材育成を効率的に行えます。
たとえば、新人オペレーターの応対時の音声をAIに分析させ、評価基準をプロンプトとして与えます。すると、応対品質や対応時間を分析し、オペレーターのスキルや生産性を評価してくれます。
GIDR AIは応対時の音声を通話後に分析し、通話の要約、コールリーズンのピックアップ、感情分析を実施していきます。
GIDR AIを使ってみよう
1. 通話内容の要約をしてくれます
2. 通話内容の文字起こしもしてくれます
3. 任意の箇所の音声を聞くことができます
4. 応対中に出てきた「トピック」や「質問」を箇条書きにし、「感情分析」もしてくれます
GIDR AIが解決してくれる現場の悩み
- 後処理の精度を上げたい
- コールリーズンの分析をきちんと実施したい
- 後処理の分析を自動化したい
- 後処理分析を通してカスハラ対策を進めたい
- 新人トレーニングを効率化したい
「弊社エンジニアからのひとこと」:通話の評価方法には様々な尺度がありますので、このソリューションだけで完結はしないかもしれません。しかし「良かった応対記録」を見つけ出す強力なツールになります。
音声の文字起こしについては、弊社のエンジニアたちが最新の技術を研究しております。お気軽にお問い合わせください。
最後に
コールセンターシステムとGIDR AIを連携させることで、対応前・対応中・後処理を丸ごと効率化させられます。さらに、GIDR AIは時間と手間がかかるコンテンツの構造化も丸投げできるAIプラットフォームです。
拡張性が高いため、応対分野やコストに合わせてLLMを選べます。アバターオペレーターとも連携できます。AIの学習には導入企業の資料しか使わないため、セキュリティを重視した運用が可能です。
GIDR AIをおすすめする「コールセンター」や「企業」
- 「対応前・対応中・後処理を丸ごと一つのAIツールで実行したいコールセンター」
- 「コンテンツの構造化から、顧客接点の部分までを丸投げしたいエンタープライズ企業」
- 「活用したいデータの量と種類が多くて途方に暮れているコールセンター」
- 「ハルシネーションやセキュリティの心配がないドメインでLLM運用をしたい企業」
「コールセンターシステムとGIDR AIの連携について」さらにお知りになりたい場合、お気軽にお問い合わせください。