
AIの実用化と発展により、より良い顧客体験の追求は熾烈化しています。とりわけカスタマーサービス部門においては、より良い顧客体験の提供とAIの採用率が密接に関係しています。
株式会社Zendeskの調査レポート「CXトレンドレポート2025」によれば、CX先進企業はCX従来型企業に比べて、AIエージェントや感情分析ツール、カスタマーサービス品質管理向けAI、問い合わせ目的検出ツール、AIチャットボットなど、AIツールの採用率が約4倍高いという結果です。
では、どのようにAI活用によるポジティブな効果を、カスタマーサービス部門において得られるでしょうか。コンタクトセンターシステム「Bright Pattern」の最新機能である「AIコンタクトセンタースイート」を軸に、顧客対応業務とAIの融合がもたらす最新ビジョンを紹介します。
▼この記事が解決するお悩み▼
「○○できるようになるだろう」といったAI活用の理想的な将来像ではなく、今すぐに実践できる活用ビジョンが知りたい
コンタクトセンターでのAI活用に関するイメージをはっきりさせたい
あえてAIを導入するメリットと、導入・活用に伴うリスクとの天秤が難しい
コンタクトセンター活用するのに向いているAIソリューションを知りたい
コンタクトセンターでAI活用をする3つの効果

生成AIが登場した当初から、コンタクトセンターによるAI活用とその効果性は度々注目されてきました。効果性の高さと共に、「人間味」やセキュリティ面など、さまざまな要素が懸念事項として上がっていたことは記憶に新しいでしょう。
コンタクトセンターにAIを導入する企業が増えたり、現代のニーズに応えるAIツールが続々と出てきたり、最小限のリスクでAIを活用するための提案がされたり…と、コンタクトセンターを取り巻くAI事情は大きく変化してきました。
コンタクトセンターシステム「Bright Pattern」においても、AI機能がさらに強化され、今まで以上にコンタクトセンター従事者やお客さまにご満足いただけるようになりました。
ここからは、「Bright Pattern」の新機能の一つ「AIコンタクトセンタースイート」をベースに、コンタクトセンターにおけるAI活用で期待できる3つの効果を解説します。
顧客満足度向上
顧客満足度アップや顧客体験のさらなる改善には、自己解決率の向上が欠かせません。トランスコスモス株式会社による「オムニチャネル利用実態調査2024」によれば、70%以上の人が「WEBやSNSでの検索する」「サイトの商品・サービス情報やFAQを見る」のように、カスタマーサービスへ問い合わせる前に自己解決行動をとっています。
コンタクトセンターへの問い合わせは、多くの場合において「自己解決できなかったとき」ということです。そのため、電話がつながるまでの待ち時間が長かったり、チャネルやオペレータをたらいまわしにされたりするなら、顧客体験と満足度の低下を引き起こします。
お客さまのセルフサービスや一次解決に貢献し、スムーズかつエフォートレスな体験を提供するため、AIチャットボットや対話型 IVRを活用しましょう。コンタクトセンターへ電話をかける手間や待ち時間を省けるなら、顧客の負担軽減と満足度向上につながるからです。
AIによるメリットはユーザーだけでなくセンター側にも発生します。お客さまの自己解決率が上がるなら、コンタクトセンターへ寄せられる問い合わせの量は削減され、オペレータの業務負担軽減に直結します。
「AIが進化しているとはいえ、スムーズで自然なコミュニケーションができなければ、かえって顧客は不満を感じるのではないか」と思われますか。
Bright Patternの「AIコンタクトセンタースイート」では、対話型IVRはもちろん、LLMの活用で対話型IVRを強化した「AI IVR」が搭載されています。顧客の感情や意図まで把握し、自然な会話で最適解を提供できるのです。
オペレータ業務の効率化
AIによる効果として大きな期待を寄せられる分野のひとつは、業務の効率化です。しかし、お客さまとのコミュニケーションが前提となるオペレータ業は、業務効率が外的要素に左右されやすいという課題があります。
「AIコンタクトセンタースイート」のように、リアルタイムでの文字起こしや感情分析機能があるなら、応対中のオペレータを強力にサポートし、サポート時間を短縮することが可能です。オペレータに余裕ができれば、よりパーソナライズしたサポートの提供が見込めます。
AIで効率化できるオペレータ業には、コールセンターが計画的にコントロールしていける分野もあります。
たとえば、後処理業務の効率化です。AIによってお客さまとの対話を自動要約するなら、オペレータが履歴を入力する手間や時間の大幅な削減が見込めます。後処理業務でAIを活用するなら、各オペレータのパソコンスキルや要約スキルへの依存を最低限に抑えられるというメリットもあります。
AIによる業務の効率化は、従業員満足度ややりがいにもつながるでしょう。
「CXトレンドレポート2025」によれば、AIツールを活用できている企業のサポート担当者は、AI未活用の担当者に比べて20%高い割合で、「順調に自分の業務を遂行できていると思う」と回答しています。AI活用がオペレータたちの体感的な効率にも影響することは明らかです。
自分の業務に満足できているなら、やりがいや愛着を感じやすくなり、従業員満足度に貢献します。最終的には離職予防にも効果が期待できるでしょう。
品質管理の簡素化
AIによって応対品質の管理を簡素化できると、SVやQAの業務を効率化することが可能です。くわえて、品質の評価基準の均一化が見込めます。
「簡素化」と言っても、決して管理体制や内容を粗雑にしたり、分析深度を浅くしたりするわけではありません。
たとえば、「AIコンタクトセンタースイート」は、あらゆるチャネルでの顧客との会話を統合して、品質管理を自動でスコアリングしたり、品質を可視化するダッシュボードを作ったりします。人手によって同じことを行おうとすると、かなりの時間や労力を必要とする業務です。AIによって品質管理をシンプルにしつつ効率化できれば、人間による分析や管理に割くリソースを確保しやすくなります。
「AIコンタクトセンタースイート」は、他にも会話内容やチャットデータを分析し、顧客の感情を自動的に判別する機能を搭載しています。また、コミュニケーション内で問題のある箇所を特定しSVに知らせることもできるので、新人オペレータのサポートやトレーニング、クレームへの迅速な対応や、カスタマーハラスメントの予防などに効果的です。
人間では数値化しにくいCSAT(顧客満足度)を自動で計測してくれたり、あらかじめ設定した評価基準に則って対応をスコアリングしたりすることもできます。各オペレータの得意や苦手を把握し、より効果的なトレーニングやコーチングをしていく上で役立ちます。
AIを活用しないことで生じる思わぬリスク

コンタクトセンターにおけるAI活用の効果性について説明してきました。しかし、すでに業務の品質管理や効率化がキープできていたり、AI導入によるセキュリティ問題を懸念していたりする人にとっては、「あえてAIを導入するメリットと、導入に伴う煩雑化やリスクとどちらを取るべきか」と悩むかもしれません。
AIのビジネス活用におけるメリットは注目されがちですが、活用しないことによって生じるリスクについてはご存じですか。
現在、組織としてAIを活用しない企業には、「シャドーAIツールの利用」というリスクが迫っています。
「シャドーAI」とは:会社やITチームが把握・承認・管理していない中で、従業員が業務において利用する外部AIツールのこと。
カスタマーサービスの分野におけるシャドーAIの利用率は、2024年から2025年の一年間で、250%にまで急増しています(出典:https://cxtrends.zendesk.com/jp/reports)。AIのビジネス活用に際して懸念される点はさまざまですが、シャドーAIによるリスクも忘れてはいけません。
たとえば、シャドーAIには以下のようなリスクが潜んでいます。
- 情報漏洩
- コンプライアンス
- サイバーセキュリティの低下
- 品質の一貫性や信頼性の低下・欠如
企業や部署が把握できていない中でこのようなリスクが高まっていくので、有事の際に迅速かつ適切に対処するのはより難しくなります。シャドーAIは、企業がコントロールしながら活用するAI以上に危険であると言っても過言ではありません。
AIの導入にあたっては、利活用時のメリットと課題を天秤にかけがちですが、活用しなかった場合のリスクについても検討するようにしましょう。まさに「影」のように、思わぬところにリスクが潜んでいる可能性があるのです。
最後に
「Bright Pattern」のコンタクトセンターでAIを活用する際の最新ビジョンと、活用しなかった場合のリスクについて解説してきました。コールセンターにおけるAI活用法や、Bright Patternの機能についてなど、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。