コールセンターシステムを導入するには?-その1:どんな種類があるの?

Call center / Help desk

「こないだ買ったんだよ、新しい機材。いろいろ比較して時間かけて買ったんだよね。で、使ってたらどうにも調子が悪くてサポートに連絡したんだけど、そこのサポートがまたほんとに使えなくてさ…」そして延々と続く愚痴。

なんて経験、誰しも一度や二度はあるんじゃないでしょうか。製品は良いのに、サポートがダメ。サポートがダメだと、メーカーがダメ。一旦メーカーに「ダメ」という烙印が押されてしまうと、そこの製品自体もお客様の目にはダサく見えてしまう…というようなダウンスパイラルから逃れるためには、やはりきちんとしたサポート体制は必須ですよね。

企業規模に関わらず、より良いサポート体制をきっちりと構えることで、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することができます。そのためには、やはりきちんとしたコールセンターシステムを確立する必要があります。

でもそこで問題。

コールセンターシステムってどうやって導入するの?確かに。そもそも論として必要な議論ですね。

一般的には、コールセンターシステムを立ち上げるには、目的を達成することのできる各種機能を備えたコールセンターソフトウェアを導入する必要があります。ここで少し、コールセンターの歴史を紐解いてみましょう。

コールセンターの歴史

もともとコールセンターの出発点は、セールスとカスタマーサービスを目的とした音声のみのインバウンドとアウトバウンドオペレーションです。システム的には、電話交換機(PBX)を導入し、オンプレミスでの展開。しかしコスト的には非常に大きな技術投資となり、メンテナンスなども自社対応が求められます。

後にPBXは、Voice Over IP(VoIP)に対応し始め、コールセンターソフトウェアには自動通話分配機能(ACD)が実装され、担当者への通話が自動で分配されるように。さらに、対話式音声応答機能(IVR)の導入により、発信者が自ら自分の電話機を使用してタッチトーンで番号を入力することができるようになりました。この機能は現在でも多く使われている方式で、例を挙げると、「日本語対応をご希望の場合は1を押してください」というメッセージが流れて、顧客が1を押すと、日本語対応に通される、というものです。

この時点では、音声チャネルがお客様や見込み客とやり取りする場合の主要チャネルであり、コールセンターは主にインバウンド(着信)とアウトバウンド(発信)の2つのセクションに別れていました。アウトバウンドは主に企業側から発信する営業関連のコールなのに対して、インバウンドは、カスタマーサービス部門やコールセンターにかかってくる新規のコールとなります。

コールセンターはこうした変遷を経てきました。それでは、どんなコールセンター向けソフトウェアがあるのか、次はいよいよソフトウェアに触れていきます。

コールセンターの技術

アウトバウンドコールセンター向け機能

コールセンターの電話システムには、4種類のダイヤルモードがあります。

1. 手動ダイヤルモード

このモードを使用すると、センター常駐エージェントは、発信リスト内の電話番号に手動で電話をかけることができます。

2. プレビューダイヤルモード

このモードでは、キャンペーン内の通話レコードリストが提供され、手動でダイヤルする前にレコードのプレビューが可能になります。

3. プログレッシブモードとプレディクティブモード

これらのモードにより、ダイヤリングプロセスの自動化ができます。プログレッシブモードおよびプレディレクティブダイヤルキャンペーンでは、ソフトウェアが自動的にエージェントにアサインされたリスト内の番号をダイヤルし、応答したコールをエージェントに取り次ぎます。

またアウトバウンドコールセンター向けソフトウェアには、広範囲なリストをソートしてフィルタリングする機能(ドラッグアンドドロップ機能付)、最適な通話時間内にコールできるようにする通話スケジューリング機能、通話相手の自動検証機能、動的な発信者IDアサイン機能、正確な通話進行分析機能、そして留守録検出機能なども含まれています。

インバウンドコールセンター向け機能

インバウンドコールセンターにおいては、次のような各種機能が一般的です。

1. 自動通話分配機能(ACD)

ACDは、着信したコールを適切な担当者へ転送するという、自動ルーティング機能で、各種様々なプロパティやルールを組み合わせることで、コールを対応可能な担当者にきちんと転送することができます。ACDがその威力を発揮するのが、多言語対応をウリにしたコールセンター。企業のグローバリゼーションを支える、多様な言語対応が可能なコールセンターでは、スペイン語を話すお客様はスペイン語対応専門の担当者に、日本語は日本語担当者に、といった具合に、各言語を話すお客様を、適宜適切に担当者のスキルに基づいてルーティングすることが重要になってきます。これができないと、多言語対応コールセンターは破滅しますね。さらに、ACDに対話の種類や発信者のステータスに関するルールを組み込むことで、「ゴールドカスタマー」向けの優先ルーティングを設定する、などといったことも可能に。

2. 各種ダッシュボード類

他にもウォールボード、レポート機能や分析機能も含まれており、顧客追跡には欠かせない機能ですね。

3. CRM連携自動ポップアップ機能

多くの企業では、自社で使用しているコールセンターソフトウェアを各々で使用しているCRMと統合しています。たとえば、Zendeskを使用している企業では、Zendeskを自社で使用しているコンタクトセンターソフトウェアと統合することで、画面ポップアップからエージェントがシームレスに発信者情報にアクセスできるようにしています。CRM統合機能により、エージェントはシングル・サインオン、データ駆動型ルーティングやアクティビティ履歴、クリックトゥコール機能、画面ポップアップ機能を利用することができます。

またインバウンドコールセンター向けソフトウェアには、エージェント側のブラウザ上で利用可能な通話コントロール、コールのテキスト化、中断された通話の復活、コールバックオプションが付いたバーチャルキュー機能、そして録音済メッセージ再生機能等が含まれることもあります。

オムニチャネルコールセンターソフトウェア

そして満を持して登場の、オムニチャネルコールセンターソフトウェア。これぞ新世代そして新たに定番となりうるコールセンターソフトウェアです。インターネットや通信技術の普及・発達に伴い、わたし達を取り巻くビジネスは変化してきましたが、変化しているのは何も企業側ではありません。消費者側の意識も急激に変化しています。スマホやモバイルの急激な普及により、消費者側には様々なコミュニケーションチャネルが誕生しています。テキストメッセージ、SNS、メッセンジャー等の新しいメディアチャネルへの対応は必須です。消費者側の「企業の対応スピードに対する期待値」は確実に上がっているからです。もはや「音声・メールでのみ対応可能です」なんて看板を掲げようものなら、顧客はスルスルっと別の企業に乗り換えてしまいます。

「いやでもうちだってマルチチャネル対応ですが何か」なんて言ったところで、生まれたときから様々なコミュニケーションチャネルに囲まれて育ってきた世代にはそっぽを向かれてしまいます。マルチチャネルでは、各チャネルは結局サイロ化したままで、シームレスな連携が取れていない。例えば顧客がメールからチャットにチャネルを切り替えたい場合、エージェント側では各チャネルの担当者が異なるため、エージェント間での情報交換が必要となり、結果として待たされるハメになる顧客のイラつき度は、担当者に対するストレスとして発散されてしまうことになります。

オムニチャネルコンタクトセンターソフトウェアの何がそんなにすごいわけ?という質問が聞こえてきそうです。

お答えします。

「すべてのコミュニケーションチャネルが1つのシステムに統合されているので、チャネルごとに担当者を変更する必要がなく、その時の顧客の状況に合ったチャネルを使ってやり取りすることができる」のです。すみません、長くて。

でもこれが可能になると何ができるのか。要は、担当者が一度に複数のやり取りを処理することができるようになるため、チャットで顧客と対応していたものの、テキスト入力より話したほうが早いとなれば、即音声通話にチャネルを移動できるので、担当者も顧客もイライラが格段に減る、というわけです。オムニチャネル、すごくないですか?これ。

次回は、コールセンターソフトウェアをどうやって選んだら良いかを見ていきたいと思います。

乞うご期待!!