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生体認証の新定番、声紋認証。Bright Pattern×VoiceDNAで実現する安全なコンタクトセンター

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AIによる簡単オムニチャネル運用、使いやすいUI、そしてAIによるオペレータアシストが特徴の「Bright Pattern(ブライトパターン)」。国内外のコンタクトセンターで高い評価を得ています。しかし、その優れたシステムをもってしても、多くのオペレータと顧客が日々直面している共通の課題があります。

それは、「本人確認」のプロセスです。

たとえば、下記のような場面が見られることはないでしょうか。

オペレータ:「ありがとうございます。〇〇カスタマーサポートの佐藤でございます。ご用件を承る前に、まずはご本人様確認をさせていただきます。」
お客さま:「あ、はい。急ぎなんですけど…。」

オペレータ:「ではお名前フルネームをお願いいたします。」
お客さま:「田中 太郎です。」

オペレータ:「ありがとうございます。次にご生年月日を西暦でお願いします。」
お客さま:「1980年の…8月15日です。」

オペレータ:「はい、確認します。続いてご登録のご住所を番地からすべてお願いします。」
お客さま:「えっと…東京都〇〇区△△1-2-3…。」

オペレータ:「はい、ありがとうございます。さらにご登録の電話番号をお願いいたします。」
お客さま:「え?今かけてるこの番号じゃないんですか?」
オペレータ:「念のため、口頭でお願いいたします。」
お客さま:「……090-1234-5678です。」

オペレータ:「ありがとうございます。最後に秘密のご質問をさせていただきます。お母様の旧姓をお願いいたします。」
お客さま:「え? そんなの登録したかな……。」
オペレータ:「ご本人様確認のため、必須でございます。」
お客さま:「……いやもう、なんでここまで答えないといけないんですか? ちょっと急いでるんですけど!」
オペレータ:「申し訳ございません。セキュリティのためでして……。」
お客さま:「(ため息混じり)もういいです、またにします。」

「お名前とご登録の電話番号をお願いします」「お母様の旧姓は?」。セキュリティのために不可欠なこのやり取りは、顧客にとっては手間であり、オペレータにとっては通話時間(AHT)を伸ばす一因となっています。

もし、この本人確認がお客さまとの自然な会話の中で、瞬時に、かつ極めて安全に完了するとしたらどうでしょうか。
今回は、AIコンタクトセンターシステム「Bright Pattern」と、次世代声紋認証ソリューション「VoiceDNA」との連携についてご紹介します。

この記事が解決するお悩み

本人確認に毎回5分もかかって、顧客がイライラしてる…

AHTを短縮したいのに、確認質問が増えて全然減らない…

AIによる音声なりすまし、正直もう防ぎきれないんじゃ…

 

 

 

 

長年、私たちはIDやパスワードといった「知識情報」で本人確認を行い、それが安全だと思ってきました。しかし、AIを活用したサイバー攻撃が巧妙化する現代において、その前提が揺らいでいます。

とくに「中間者攻撃」と呼ばれる手口の被害が拡大しています。たとえば、IDやパスワードを偽サイトに入力させ「知識情報」を盗む手口や、ワンタイムパスワードをリアルタイムで窃取する手口が巧妙化しています。

「2025年8月に、7社の証券会社で1248件の不正アクセスが発生。被害額は8月だけで約514億円と、2025年1月の2.8億円の被害額に対して、非常に大きな額の被害が発生しています。」

参考:金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引による被害が急増しています

これは、従来の認証方法が持つ「情報が盗まれる」という本質的なリスクを示しています。

この課題を根本的に解決する鍵が、指紋や顔と同じ「生体認証(バイオメトリクス)」、その中でもとくにコンタクトセンター業務と親和性の高い「声紋認証」なのです。

 

声紋認証とは、その人固有の「声」を使って本人確認を行う技術のことです。声は、声帯や口腔の形といった物理的特徴と、話し方のクセやリズムといった行動的特徴が組み合わさった、まさに「声の指紋」。原理的に盗むことも、真似することも極めて困難です。

この声紋認証を「Bright Pattern」に組み合わせることで、コンタクトセンターは3つの大きな変革を実現できます。

1. 顧客体験(CX)の飛躍的な向上

1つ目の変革が、顧客体験(CX)の向上です。冒頭でも少し触れましたが、時間がかかって顧客にストレスをかけてしまう従来の本人確認のプロセスを大きく改善できます。

最新の声紋認証ソリューション「VoiceDNA」では、本人確認に必要なステップは2つだけです。お客さまの声の「登録」「認証」だけとなります。しかも初回の「登録」が済んだら、2回目以降は「認証」の1ステップのみとなります。

では、実際のコンタクトセンターにおいて、声紋認証はどのように活用されるのでしょうか。具体的な会話の流れを見てみましょう。

【初回:声紋の登録】

オペレータ: お客さまの声を登録すると、次回から声で本人確認ができて便利です。登録してみませんか?     
お客さま: はい、お願いします。
オペレータ: では、自動音声の案内に従ってください。
お客さま: 分かりました。
自動音声: 声紋登録のため、20秒間、自由にお話しください。
お客さま: (20秒発言)
自動音声: 登録が完了しました。ご協力ありがとうございました。

【次回以降:お電話での認証】

自動音声: ただいま電話が込み合っております。オペレータにおつなぎするまでの間、ご本人さま確認を行いますので、ご登録のお名前、生年月日を仰ってください。
お客さま: 鈴木一郎です。昭和〇年〇月〇日です。
自動音声: 確認が取れました。オペレータへおつなぎします。
オペレータ: たいへんお待たせいたしました。お声によるご本人様確認が完了しておりますので、このままご用件をお伺いします。

冒頭にある従来の本人確認プロセスと、声紋認証を使ったプロセスを比較してみてください。どちらがお客さまに便利な体験を提供できるでしょうか。

声紋認証を活用することによって、顧客はもうパスワードを思い出したり、煩わしい質問に答えたりする必要はありません。

実際にアジアの大手銀行の事例では、声紋認証の導入により、本人確認時間が平均30〜40%削減され、顧客満足度が25%以上も向上したという結果が出ています。ストレスフリーな体験は、顧客ロイヤルティの向上に直結します。

2. オペレータの生産性向上と負担軽減

先ほどの認証シーンの裏側では、オペレータの業務も効率化されています。顧客がIVRと話している間に認証が完了すると、オペレータが電話を取った時点で、「Bright Pattern」の画面には顧客情報や本人確認の一致率が自動で表示されます。

これにより、オペレータは本人確認の質問を繰り返す必要がなく、すぐに本題に入ることができます。

平均処理時間(AHT)は大幅に改善され、オペレータは本来の目的である顧客の課題解決に集中でき、より質の高いサービスを提供できます。

3. AIによる「なりすまし」を防ぐ鉄壁のセキュリティ

声紋認証は、なりすましによる不正利用を強力に防止します。さらに、最先端の技術では、AIによって作られた合成音声や録音音声を検知する「なりすまし検知技術」も強化されています。

なかでも「VoiceDNA」は、AIを活用した不正ななりすまし対策を一層強化している点が特長です。

補足:AIによる「なりすまし」に対するVoiceDNAの実力

検出能力の実績:VoiceDNAは、TTSや音声クローンによるなりすまし音声も高精度に検知します。実際に生命保険会社では、導入初月に5件の不正アクセスを検出。すでに銀行・保険・コールセンター業界で幅広く採用されており、高い信頼性と即効性を兼ね備えています。

定期的なモデル更新:進化する音声AIの脅威に先んじるため、2~3ヶ月のサイクルでモデルを定期的に更新しています。これにより、検出能力が継続的に向上し、最新の音声合成技術に対抗できます。

さらに「VoiceDNA」は、あらかじめ録音してある音声ファイルを再生しても本人ではないと検知することができます。

AIや人間が生み出す新たな脅威に、より高度なAIで対抗する。これにより、企業と顧客の資産をこれまで以上に安全に守ることができます。 

「Bright Pattern」に声紋認証を追加することは、単なる機能追加ではありません。それは、「セキュリティ」「顧客体験」「業務効率」という、コンタクトセンターが抱える3つの重要課題を同時に解決するための戦略的投資です。

本人確認のプロセスを顧客との信頼関係を築くための時間に変える。声紋認証は、「Bright Pattern」で構築するコンタクトセンターを、次のステージへと引き上げるための強力な一手となるでしょう。